プールや夏祭り、花火など夏ならではのお楽しみがあるのがこの時期 2017 All Rights Reserved. 園の記録書類の一つである保育日誌は、今現在保育士としてお仕事をしている方はすでに書いているはずですし、これから保育士になる方は今後記入を任されることになるかと思います。その日どのような活動をしたか、子どもたちはどのような様子だったかなどを担当保育士が毎日記します。日々の保育を見直すため、また園や園児の記録として残すためにも重要なので、基本の書き方やそのねらいを確認しておきましょう。 目次保育日誌は、日記ではありません。保育士の目線から見たその日の保育や子どもたちの様子をしっかり記録していく必要があります。では、正しく書くためにはどのようなことに気をつけていけばよいのでしょうか。 まずは、保育日誌の様式や書式、フォーマットをチェックしてみましょう。様式やフォーマットは園の方針によって微妙に異なっています。大事なのは、「いかに保育に活かせる日誌であるか」です。日本保育協会の「保育所保母業務の効率化に関する調査研究」では、保育日誌を作成するポイントとして重要な点を述べています。(i)   子どものあるがままの姿を、保育者の対応やそのときの思いも含めて、具体的に記録することで、保育の反省・評価につながる(ii)   時間の経過と共に活動を羅列するだけの記録にならないように(iii)  子どもの表情・言動から内面の変化をとらえる記録(iv)   個の変化と集団としての変化の両面から記録する(v)   今日の保育が明日の保育に生かせる このようなことを踏まえ、書きやすく保育に活かせる様式を選びます。ここでは、年齢別に保育日誌を比較してみましょう。 ■0歳児0歳児は個々の成長や発達が著しい時期なので、保育中の個人の記録を中心に書き記すケースが多いです。特に健康管理面は重要で、その日の体温や排泄、食事(ミルク)や睡眠時間などもしっかり記録しておくことで、今後の健康チェックの参考にもつながります。 ■1歳児1歳児の保育日誌になると、視野はクラス全体に広がります。保育中、クラスの子どもたちはどのような様子だったか、また保育で反省すべき点などを記入します。0歳児と同様、健康管理が重要な年齢なので、子どもの健康状態や食事の様子を書く欄も大きく設けられています。 ■5歳児幼児になると、保育のねらいや活動内容に重点を置き、それに対する子どもの様子や反省点などを書く様式が多くみられます。保育士は活動でどのようなことに配慮したかを記しておくことで、日誌を見返す際にもその時の状況が鮮明に浮かびます。 保育日誌を書くことは、保育士の公的義務の一つです。とはいえ、初めて書く新任の先生にとっては、「先生たちはどのように日誌を書いているのだろう」という疑問や不安もあるはずです。無駄のない簡潔且つポイントをおさえた日誌にするには、どのような点に注意すればよいのでしょう。お茶の水女子大学子ども発達教育研究センターの「日誌として記録を記すことは、その日の保育を頭の中で再現することで、「子どもたちが何に興味や関心を示していたのか」、「友だち同士のかかわりはどう展開していたのか」、「子どもたちがどのように環境に関わっていたのか」など、全般的に見た子どもの実態が捉えられます。 とあり、正しく書くというよりはより具体的であるかどうかが求められます。たとえば3歳児の食事のシーンを書く場合、「子どもたちはよく食べていた」だけでは不十分です。「よく食べていたが、中には野菜を残す子もいた」「時間内に食べ終わらず、残って食べている子がいる」など、気になる点は積極的にあげておくことで、よりその時の状況が鮮明になります。出典元: 保育日誌には、必ず保育のねらいを記入します。その日の保育はどのようなねらいをもって行われているのかをこの部分で確認するのです。お茶の水女子大学子ども発達教育研究センターの「 保育日誌の評価や反省は、保育士自身にとって大切になる部分です。一日の保育を振り返り、どのような点が良かったか、またはどのような点を見直すべきかを客観的に気づくきっかけにもなります。「材料の準備が足りなかった」「子どもをグループ分けすればもっとスムーズだった」など、今後見返してもわかりやすいように書きましょう。 ここでは、どのような保育環境の中で保育士、園児は何名いたのか、どのような流れで活動したのかなどを記します。第一に、事実報告をしっかり書くことが求められます。お茶の水女子大学子ども発達教育研究センターの「保育を進めるに際して構成される環境は、「安全で安心できる環境」「発達に応じた環境」「興味や欲求に応じた環境」「課題性をもつ環境」などがあります。教師は適時このような環境を組み合わせて、子どもが自分からかかわっていきたくなるような環境を構成していくのです。 園には、日誌の中に保育士の感想や考察を書き留めるケースもあります。反省とも類似しますが、ここでは素直な感想や思ったことを書きましょう。たとえば、「A君への支度の配慮が足らず給食に間に合わなくなってしまったので今後配慮したい」「クラスの雰囲気が落ち着かないため、集中できる環境づくりを考えていきたい」など、今後に活かしていきたい内容を加えてもいいですね。 保育日誌の形態が大きく違う0歳児クラス。クラスの様子や保育の内容よりも、個人の記録が重要になっています。ハイハイやつかまり立ちなどの発達状況はもちろん、ミルクの飲み具合や離乳食の状況、排泄の回数、睡眠時間など、日誌というよりは事実の記録を大切にします。 乳児の保育日誌では、活動内容を週単位で記入するケースが多くみられます。個人的な成長や発達の様子は個人記録として別に書くため、活動の記述は簡潔にできる方法をとっているようです。メリットとしては、一週間の見通しが立てやすいこと、また、活動の目的を見直すきっかけになることもがあげられます。 0歳児の場合は、保育日誌とは別に一日の子どもの様子がひと目で伝わるような記録のやりとりを保護者と行います。ミルクは何時に飲んだのか、排泄は何回したのか、睡眠は何時間したのかなど、生活の記録を伝えることで家庭での生活とつなげていくのです。出典元:「 この例では、家庭での様子や保護者のコメントを書く欄も設けられ、さらに園と家庭との連携をはかりやすくしています。送り迎えのときには伝えきれない細かなこともコミュニケーションできるので、お互いにメリットがありますね。保育日誌に加え、0歳児保育にはなくてはならない記録の一つです。 保育は日々独立しているのではなく、つながりをもちます。保育日誌も同じように、今日の日誌は明日の保育につながるものでなければなりません。より良い保育を目指すためには、ときに過去の保育日誌を見直すことも大切なことなのです。 保育をするにあたり、さまざまな記録があります。年間指導計画をはじめ、月案、日案保育日誌に個人記録など、クラスひとつをとっても膨大な量になります。ただ、その記録をそのまま保管しておくだけでは保育に活かせているとはいえません。保育の節目で、定期的に指導案や過去の日誌を見返し整理していくことは、書くこと以上に重要なことなのです。整理することで保育の目標を改めて立て直すことができます。 保育日誌を見返すと、保育に何が足りていないのか、指導案と見比べて子どもたちはどのように成長しているのかがはっきりわかります。忙しく流れていく毎日の中、保育士自身、保育内容の振り返りや子ども一人ひとりの成長の見通しを意識することは難しいもの。定期的に日誌を見返して、指導案の目標に沿った保育ができているか、または目標に改善の余地はないかを考え直してみましょう。 これまでは、現役の保育士が書く保育日誌について考えてきましたが、最後に保育士を目指す実習生のための保育日誌についても考えてみましょう。 実習生が実習中、保育の様子を記録していく保育日誌にはさまざまな形式があります。養成学校によってその方針は異なるので、自身はどのような記録をとるのかを確認しておく必要があります。特徴として、一日の流れを簡潔に書き留める「流れ記録型」やそのクラスの指導案をもとに記録する「指導案獲得型」、さらには、気になったエピソードにスポットを当てて記述する「エピソード記述型」などがあります。それぞれ、保育内容を重視したものや、実習生が感じたことを大きくとりあげるものなど、目的は異なっています。 実習の評価につながる日誌の内容は、実習生にとって悩める存在かもしれません。では、何を重要視して書けばよいのかを考えてみましょう。権藤眞織氏による「 保育現場での保育日誌、または実習における保育日誌、いずれも保育にかかわる大切な記録となることに違いはありません。その時の子どもをいかに鋭い視点で捉えるかが重要になるので、その重要性を意識して日々書いていきましょう。