© 2020 汽車旅指南所 All rights reserved. SHARE青春18きっぷは全国のJR線の普通列車・快速列車が乗り放題のきっぷです。というふうに聞いても、具体的にどんな列車に乗れるのかわからないという方もいるのではないでしょうか。今回は、青春18きっぷで乗れる列車について解説したいと思います。もくじ1~3の列車に乗る場合は、特急券・グリーン券の他に、乗車券も別途必要です。3の例として、岡山と高松を結ぶ快速「マリンライナー」のグリーン車があります。日常で目にする列車のほとんどが1に該当します。山手線の電車なんかもそうですし、新快速もこれです。2は快速「ムーンライトながら」が一番有名です。主に臨時列車などに設定されることが多いです。3は、首都圏の中距離電車に連結されているものです。ジョルダンという乗換案内サービスには青春18きっぷモードがあり、これを使うと便利です。ジョルダン以外の乗換案内サービスは青春18きっぷで乗れる列車を判定してくれません。ふつうの乗換案内で調べるときは、青春18きっぷで乗れない列車が出てきてしまうので、そのままでは使えません。例えば、それでも乗れない列車(JR線以外の普通列車)が表示されてしまうのですが、それを表示させない機能はありません。JR線かどうかを判別する方法については以下の記事を参考にしてください。青春18きっぷで乗れる列車のほとんどすべてがこれです。「普通車自由席」などと呼ぶと大げさですが、普段よく乗る電車のことです。大都市近郊ではいろいろな種類の快速列車が走っています。「通勤快速」「大和路快速」など、最後が「快速」の文字で終わっているものは快速列車の一種ですので、青春18きっぷで乗ることができます。大都市近郊を離れると、ほとんどすべての路線で普通列車だけしか走っていない区間となります。普段大都市で生活していると、どんな路線にも快速列車が走っているかのように勘違いしてしまいますが、快速があるのは、基本的に大都市近郊だけです。たとえば、東京から名古屋に行く場合、小田原から豊橋までの3時間半は、途中の全部の駅に止まる覚悟が必要です。ただ、普通列車だからといって、必ずしも全部の駅に止まるとは限りません。まれに、普通列車でも止まらない駅があることがあるので注意が必要です。快速列車にも指定席があるものがあるというのは意外に思われるかもしれません。有名なものをあげると、新千歳空港発着の快速エアポート号、名古屋と伊勢を結ぶ快速みえ号や、岡山と高松を結ぶ快速マリンライナー号などがあります。これらの列車には自由席も連結されていますので、追加料金無しで乗ることもできますが、指定席料金を払えば、指定席車に乗ることもできます。みえ号とマリンライナー号は自由席も転換クロスシートで快適なので、あえて指定席に乗る必要はないと思います。ちなみに、快速みえ号は途中のところで、全車指定席の快速列車というものも、臨時列車などで走ることがあります。東京と岐阜県の大垣を結ぶ夜行列車の快速「ムーンライトながら」が有名です。その他、秋田県と青森県を走る快速「リゾートしらかみ」など、東日本エリアを中心に走っています。全車指定席の快速列車は指定席券を買わないと乗車することはできません。それから、SL列車も全車指定席の快速列車として運行されますから、これに乗ることもできます。高崎と水上の間を走る「SLみなかみ」、花巻と釜石の間を走る「SL銀河」や、新山口と島根県の津和野の間を走る「SLやまぐち」などがあります。こういった列車は都市間連絡というよりかは、ローカル線の活性化のために走っているものが多いので、実用的に安く旅行するための手段にはなりづらいです。ですが、うまく使えば長距離旅行を快適にすることもできます。また、これらの列車に乗ることを目的に出かけるのも楽しめるでしょう。快速列車の指定席を利用するには、青春18きっぷの他に「指定席券」が必要です。指定席料金は時期によって異なりますが、青春18きっぷ期間中は530円です。SL列車などは840円のものがあります。全車指定席の臨時快速列車の中にはかなりの長距離を走るものもあります。わずか530円で快適に長距離旅行できるので、かなりお得です。SL列車もかなりお得感があります。指定席券は1ヶ月前の同じ日の朝10時から全国のみどりの窓口などで発売されます。発売日に飛びついて買う必要はありませんが、「ムーンライトながら」に限って言うと、すぐ完売になることが多いようです。どうしても乗りたい列車がある場合は1ヶ月前から予定を立てて買っておくようにすると良いです。関東地方では主要路線の多くの普通列車にグリーン車があります。関東地方以外には存在しないのでご存知でない方も多いかもしれませんが、首都圏では結構有名です。東海道本線、横須賀線、総武本線、東北本線、高崎線、常磐線の中距離列車にはほぼすべての列車にグリーン車がついています。首都圏の列車はほとんどの車両がロングシートですが、グリーン車に乗れば特急列車と同じようなリクライニングシートを利用することができます。自由席なので座れる保証はありません。ただ、グリーン券を買った上で実際に乗って満席だった場合は、グリーン料金を払い戻してもらうことができます。満席のときは、車内でアテンダントさんに払い戻したい旨を申し出てください。普通列車・快速列車のグリーン車自由席を利用するには、青春18きっぷの他に「グリーン券」が必要です。グリーン料金は平日と土休日で異なります。また、50km以下と51km以上の2種類の料金があります。51km以上であればどれだけ乗っても料金は変わりませんから、長距離乗車する場合はお得です。また、同一方向の乗車であれば、途中で乗り換えても料金は通算となります。例えば静岡県の沼津から栃木県の黒磯まで289.5kmを1枚のグリーン券で乗車することもできます。ただし、途中で改札口を出ることはできません。グリーン券は紙のきっぷと、(Suicaなど)ICカード乗車券を利用するタイプがありますが、料金は同じです。購入するときは、乗車駅と降車駅を指定する必要があります。紙のグリーン券は駅の改札の外の券売機や、みどりの窓口で発売しています。ICカード乗車券で利用する場合は、事前にチャージ額から決済し、グリーン券情報をカードに記録する必要があります。この処理はホーム上のグリーン車乗車位置付近の券売機で行うことができます。モバイルSuicaの会員のひとは、端末の操作でいつでもどこでもグリーン券を購入することができるので便利です。18きっぷで移動中の場合はいちいち改札口を出たりするのが面倒なので、IC乗車券で乗ったほうが便利です。ただ、ICカードを持っていないといけないので、よくわからない人は紙のグリーン券のほうが利用方法がわかりやすいです。紙のグリーン券は回収されませんから、記念に持って帰ることができます。紙のグリーン券は全国のJRのみどりの窓口で発売していますから、あらかじめ出発前に購入しておくこともできます。ただ、遠方の駅では首都圏のグリーン券のことをよくわからない係員がいるかもしれませんから、発券に手間取ることもあるかもしれません。それから、事前にグリーン券を買わないで乗ってしまい、車内で料金を支払うこともできますが、260円余計にかかりますので、おすすめしません。同じ快速列車のグリーン車でも、岡山と高松を結ぶ快速「マリンライナー」のグリーン車は指定席なので、青春18きっぷで利用することはできません。マリンライナーに乗るときは、普通車自由席か普通車指定席を利用するようにしましょう。また、まれに全車グリーン車指定席の快速列車がありますが、こういった列車にも青春18きっぷは使えません。などJR西日本の京阪神地区の新快速には、Aシートというものがある列車があります。これは、編成中の1両だけ別料金を必要とする車両を連結したものです。座席は特急列車で使用されるようなリクライニングシートとなっています。JR東日本におけるグリーン車のようなものだと思ってください。青春18きっぷでも、500円の着席料金を支払えば利用することができます。料金は乗車してから車内で支払います。現金またはICカードで支払えますが、モバイルSuicaは非対応です。指定席ではありませんので、座れる保証はありません。2019年3月から試験的に導入されたものなので、1日2往復のみの運転となっています。気仙沼線と大船渡線(気仙沼~盛間)はもともと鉄道でしたが、東日本大震災の復旧でバス路線になりました。そのため、青春18きっぷでこのバスに乗ることができます。BRTというのは「バス高速輸送システム」のことで、専用道を使うことで遅延に強いバスとなっています。逆に、これ以外のバスは一切乗ることができません(事故時の便宜的な扱いを除く)。意外ですが、全国で1箇所だけ青春18きっぷで乗れるフェリーがあります。それが広島県の宮島フェリーです。2009年までJRの直営だったという経緯で、青春18きっぷで利用できることになっています。現在はJR西日本の子会社が運営しています。この航路には「JR西日本宮島フェリー」と「宮島松大汽船」という2つの会社の運行している船があります。青春18きっぷで乗ることができるのは「JR西日本宮島フェリー」だけですから注意してください。もっとも、片道180円ですから、あまりお得感があるわけではありません。ホームライナーというのは、通勤時間帯に走っている座席定員制の快速列車です。新潟地区では「らくらくトレイン」という名前で走っています。「ライナー(英語:liner)」という言葉は本来「定期便」という意味ですが、日本国内の鉄道業界においては、「追加料金を払うことで必ず座れる通勤列車」という意味で通用しています。ただし、「ライナー」と付くものでも追加料金不要で乗れるものもあります。マリンライナー、とっとりライナー、アクアライナー、みよしライナー、安芸路ライナー、サンライナー、シーサイドライナー、ニセコライナー、いしかりライナー、はこだてライナー、は主に大都市近郊の通勤路線の一部で運行されています。車両は特急列車に使われるものが使用されることが多いです。通勤に使われるという性格上、土休日は運休となることがほとんどです。また、朝は都心に向かって走り、夕方から夜間にかけて郊外に向かって走ります。そのため、青春18きっぷで旅行するのにちょうどいい列車はあまりありません。それでもうまく行程に組み入れることができれば、快適な旅行ができます。沼津~浜松間で走っている「ホームライナー浜松」は長距離旅行に組み入れやすいです。ホームライナーに乗車する場合は青春18きっぷの他に乗車整理券(ライナー券)が必要です。発売方法については、走っている地域によって事情が異なります。乗車駅で当日から発売になることが多いです。青春18きっぷで旅行中に利用する場合は、乗車駅から乗る直前に買うことになるでしょう。首都圏の駅ではホーム上の専用の券売機で発売していることが多いですが、それ以外の地区では改札口の外の券売機で発売していることが多いです。乗車時にきっぷのチェックがない場合は、車内で購入することもできます。料金は330円~520円程度です。ホームライナーは旅行者向けのものではなく、毎日通勤している人向けのものなので、部外者にとっては何かとわかりづらいことが多いのが特徴です。そういう意味では青春18きっぷで利用するには中級者以上向けといえます。実は特急列車の中にも、青春18きっぷで利用できる物があります。以下に示す区間だけです。一般的な傾向として、青春18きっぷの特例で特急列車に乗る場合、特別に早く移動できる、という効果は期待できません。むしろ、こういった箇所では思うように移動できないことが多いです。北海道にある石勝線の新夕張~新得間には特急列車しか走っていないため、例外的に乗車券のみで特急列車に乗ることができます。この特例は青春18きっぷ利用者にも適用になります。この区間で特例を利用する場合は、特例区間外にはみ出して乗車することはできません。はみ出して乗車する場合は乗車全区間の運賃と特急料金がかかります。新夕張に止まらない列車が結構ありますので、この区間だけ乗ろうとすると案外大変です。また、新夕張まで行く普通列車もかなり少ないので、新夕張で数時間の待ち時間が発生することもあります。うまく行程がつながれば便利なルートですが、うまく組むのは難易度が高いです。奥羽本線は列車が結構少ないので、新青森駅を利用する新幹線利用者の便宜を図って、特急列車に料金不要で乗車できるような措置が取られています。青春18きっぷでも同様の措置が取られるようになりましたが、新幹線を利用しないのであれば、この区間だけ乗れてもあまり嬉しいことはありません。使いみちがあるとしたら、新青森駅の見学のために途中下車をするとか、新幹線利用者を出迎え、見送りに行く場合などでしょう。新青森と青森は隣の駅で、特急でも普通列車でも所要時間は変わりません。この区間で特例を利用する場合は、特例区間外にはみ出して乗車することはできません。はみ出して乗車する場合は乗車全区間の運賃と特急料金がかかります。奥羽本線の事例と似ています。こちらは空港利用者の便宜を図って、この区間を乗る場合は特急料金不要としています。飛行機で宮崎に到着し、そこから青春18きっぷの旅行を始める場合は行程が組みやすくなって便利です。宮崎空港~宮崎間は6.0kmで3駅間です。特急でも普通列車でも所要時間はほぼ変わりません。2018年から追加された特例区間です。もともと走っていた普通列車を減便することに対する救済措置として特例が作られました。「青春18きっぷ北海道新幹線オプション券」というものを使えば北海道新幹線の一部区間に乗ることができます。このオプション券を買うと、新幹線の奥津軽いまべつ~木古内間と道南いさりび鉄道の木古内~五稜郭間の片道1回の乗車ができるようになります。ただ、これの使用はあまりおすすめできません。奥津軽いまべつ駅に行くには、津軽線で津軽二股駅まで乗車する必要があります。津軽二股駅から奥津軽今別駅への乗り換え時間自体は徒歩5分程度なので何ら心配するものではないのですが、乗り換え待ち時間がひどいのです。青森から津軽二股駅に行ける列車は1日5往復しかなく、奥津軽いまべつ駅に停車する新幹線も1日7往復しかありません。そのため、1時間待ちでは良い方で、下手をすると3時間近く待ち合わせ時間がかかるパターンもあります。初心者の方は、通常通り運賃と特急料金を支払って新青森~新函館北斗間を乗ることをおすすめします。北海道と本州を行き来するときは、青春18きっぷよりも「北海道&東日本パス」のほうが便利です。次の記事 たかく三度の飯より列車に乗ることが大好きな旅人。もっと多くの人に汽車旅の楽しみ方を知ってほしいと思っています。

普段は一切普通・快速以外には乗れない18きっぷですが、わずかではありますが特急に堂々と乗車することができる特例区間が存在します。