映画『シャイニング』をネタバレ解説。完璧主義者=スタンリー・キューブリック監督の演出方法、ラストシーンの意味、鏡が象徴するもの、原作との違いなどを徹底考察。 モダンホラーの傑作として名高い、1980年公開作品『かつてロンドンの数学者が「ショックの度合い」「サスペンス」「ゴア描写」などさまざまな項目から『シャイニング』を統計学的にデータを分析したところ、そのバランスが適切だったことから「完璧な恐怖映画」と結論づけたという逸話もあるくらいだ。というわけで今回は、ホラー映画の金字塔『シャイニング』についてネタバレ解説していきましょう。豪雪のため、冬の期間だけ閉鎖されるオーバールック・ホテル。かつてここでは、精神に異常をきたした管理人が一家を惨殺した挙句に自殺するという、痛ましい事件が起きていた。そんないわくつきのホテルに、小説家志望のジャック(やがてこの一家に、かつてない恐怖が襲いかかる…。『2001年宇宙の旅』では「人類と地球外生命体の遭遇、そして進化」という哲学的なテーマを、『時計じかけのオレンジ』では「人間が本来有している暴力衝動と性衝動、それを管理する全体主義」という社会的なテーマを扱ってきた鬼才スタンリー・キューブリック。コムズカシイ作品ばかり撮ってきた彼が、前作『秘書の談話によれば、キューブリックは次回作のネタ探しのために片っ端から小説を読みまくり、少しでも気に入らないとオフィスの壁に本を投げつけるという悪癖があったが、「シャイニング」を読み終わった時は本を投げつけなかったため、「次回作はこの小説になるんだな」と直感的に分かったそうな(すごい話だ)。だが、出来上がった映画は原作を大きく改変した独自のストーリー展開に。スティーヴン・キングは今に至るまでキューブリックに対して批判を繰り返している。この映画は、大きくて美しいけれど、モーターのないキャデラックのようなものです。座ることができるし、革張りの匂いを楽しむこともできるけど、そもそも走ることができない。問題なのは、ホラーというジャンル特性をはっきりと理解していないまま、ホラー映画を作ろうとしていたことにあるのです。(1986年のインタビューより抜粋)かなり辛辣なコメントだが、それもむべなるかな。原作では、ホテルの“邪悪な何か”がジャックを狂気に陥れる要因としてはっきりと描かれている。しかし、映画ではその理由がよく分からない。さらに、息子ダニーの超能力シャイニングが発揮されることもあまりなく、コックのハロラン(結果的にキューブリック版『シャイニング』はスタンリー・キューブリックは独自のビジュアル・センスを持つ、一切の妥協を許さない完璧主義者として知られている。『シャイニング』における、その演出方法の一端を3つご紹介しよう。キューブリックの全フィルモグラフィーに共通する特徴として、まず「ハロランが自宅で寝そべっているシーンは、中央にテレビ、真上に黒人女性の写真、左右にランプという構図だし、オーバールック・ホテルの内部も、左右対称の幾何学模様が施されたカーペットを中央にして、左右に部屋のドアが配置された構図だ。あまりに人工的で整然とした世界は、厳格なまでに左右対称すぎるがゆえに、かえって冷え冷えとした非現実感を醸成する。その際たるものが、あの有名な双子の少女だろう。可愛らしい女の子が二人並んでいるだけなのに、シンメトリーな構図にシンメトリーな少女が配置されると、理屈抜きでひたすら怖い! このあたりの映像センスは、若い頃にアメリカの写真誌「LOOK」のカメラマンとして働いていた経験が活きている。もう一つこの映画の白眉として強調しておきたいのが、全編にわたって印象的に使われている三輪車に乗ったダニーがホテルの中を走り回ったり、巨大迷路で鬼の形相のジャックがダニーを追いかけ回すシーンの“滑るようにカメラが移動していく感じ”は、ステディカムなしでは考えられない。『シャイニング』の映像的ダイナミズムは、この画期的な移動撮影によってもたらされたのである。早撮りで有名なクリント・イーストウッドは、”One-take” directorと呼ばれるくらいにテイク数の少ない監督として知られているが、逆にスタンリー・キューブリックはとにかくテイクを重ねる監督だ。納得のいく演技を撮れるまで、何十回もテイクを繰り返すのは当たり前。こんな撮影スタイルでは役者もスタッフも参ってしまうが、その最大の犠牲者となったのがウェンディー役の女優シェリー・デュヴァルだった。彼女を極限のプレッシャー状況に追い込むため、キューブリックはテイクを重ねるだけではなく、容赦なく怒鳴ったり罵声を浴びせたりしたのだ。その様子は、キューブリック監督の末娘ヴィヴィアンが撮影したドキュメンタリー『Making the Shining』にしっかりと収められている。過酷な撮影に耐えかねて、完全にブチギレしているシェリー・デュヴァルの姿は必見なり(笑)。撮影当時69歳だったハロラン役のスキャットマン・クローザースも犠牲者の一人と言っていいだろう。台所でダニーと会話するシーンでは148テイクもの撮り直しをさせられ、ジャックに斧で切りつけられるという精神的・体力的にキツいシーンでも、およそ40テイク撮り直しさせられたのだ。彼の身体を心配したジャック・ニコルソンが、キューブリックに「これ以上撮影するのはやめよう」と懇願したというのは有名なエピソード。ちなみにクローザースは撮影終了後、リハビリのために病院に通うことになったそうな……。この映画で象徴的に使われているアイテムがいくつか例を挙げてみよう。シャイニングの能力によって生み出された想像上の人物トミーが、“あちら側”の存在であることを明示している。ジャックが精神的に衰弱している様子が鏡に映し出され、“こちら側”にいるダニーと“あちら側”に片足を踏み入れているジャックが映像的に表現されている。一糸まとわぬ姿の絶世美女と思いきや、鏡に映し出されるのは体が腐乱した年配女性。本来は腐乱した年配女性が“こちら側”、絶世の美女が“あちら側”として描かれるべきはずだから、実は世界が逆転してしまっている。この時点でジャック自身が“あちら側”の住人になりつつあることが分かるシーン。鏡越しに見ると「MURDER」と読めるこのシーンで、それに気づくのがウェンディーであることがとても重要。この瞬間に世界は完全に“あちら側”に侵食され、それまで“こちら側”の世界しか認知していなかったウェンディーにも、邪悪なホテルが牙を剥くのだ。さまざまな解釈を生んだ、映画のラストに映し出される「舞踏会の記念写真」。1921年7月4日の日付が刻まれたこの写真には、美しく着飾った紳士・淑女の中央に若かりし頃のジャックが鎮座している。これは何を意味しているのだろうか?キューブリックはインタビューで、最後の舞踏会の写真は、ジャックの生まれ変わりを示唆しています。と思いっきりネタバレコメントをしているのだが、もう少しこの問題について考察してみよう。そもそも『シャイニング』という題名は、あのジョン・レノンがプラスティック・オノ・バンド名義で発表したナンバー「Instant Karma!」の歌詞の一節「We All Shine On」の「Shine(輝ける)」というワードから着想を得ている。「Karma(カーマ/カルマ)」とは、日本語で「業」と翻訳されるが、要は「犯した罪の因果によって、それ相応の報いを受けること」を指す。仏教的解釈では、因果の道理によって地獄、餓鬼、畜生、修羅、人間、天上の6つの世界を生み出し、その世界で何度も生まれ変わりを続ける(=輪廻転生)。そう考えるとジャックは、「邪悪な意思を持つホテルの管理人として、何度も生まれ変わりを果たしている人物」とみなすことができるのだ。ジャックが因果応報によって、何度もホテルの管理人として生まれ変わっているとしたら、彼が犯した罪は何なのだろうか? 筆者の暴論かもしれないが、それを裏付けるシーンがある。支配人のアルマン(さらにこのシーン、よく見るとちょっと不思議なショットが挿入されている。最初カメラは左にグレイディ、右にジャックという構図で捉えているのだが、数秒だけ左にジャック、右にグレイディという配置が反対になったショットが差し込まれているのだ。映画では通常、2人の人物が会話するシーンではこれは、ジャックがグレイディ自身であることを指し示しているのではないか?かつてのグレイディと、現在のグレイディ(=ジャック)が会話していることを映像的に表現するために、キューブリックが意図的にこのような演出をしたのではないか、と筆者は勝手に推察しております。公開から約40年が経過した今なお、『シャイニング』は多くの映画ファンを魅了し続けている。1997年には、キューブリックをコキ下ろしたスティーヴン・キング自ら製作総指揮と脚本を手がけたドラマ版『さらに2012年には、キューブリック研究家たちが『シャイニング』の新しい解釈や珍説・奇説(中には、NASAによるアポロ計画捏造の暴露が映画の製作意図だというトンデモ解釈があったりする!)を披露するドキュメンタリー映画『そして2020年1月24日には、舞台は前作から30年後。大人になったダニーは、過去のトラウマから酒におぼれる日々を送っていたが、やがて自分と同じ超能力を持つ少女と出会うことで、新たな恐怖が襲いかかる……という内容。まだまだ『シャイニング』の惨劇は続くのであります!記事をシェア公式アカウントをフォロー【ネタバレ解説】映画『時計じかけのオレンジ』タイトルの意味とラストシーンを徹底考察【ネタバレ解説】SF映画『2001年宇宙の旅』が描いた人類進化論とモノリスの意味を徹底考察【ネタバレ解説】映画『セブン』七つの大罪と衝撃的ラストシーンを徹底考察アルフレッド・ヒッチコックは何故、サスペンスの神様となったのか?【フィルムメーカー列伝 第十四回】【ネタバレ解説】映画『聖なる鹿殺し』のカメラワークが意味するものを探るドラマ・映画「SPEC(スペック)」歴代シリーズどの順番で観るんだっけ?放送・公開順に並べて紹介!映画『パラサイト 半地下の家族』をネタバレ考察!ラストはどうなる?“格差社会”がテーマ?【ネタバレ解説】映画ファンが「これは怖い…」と評価する!名作ホラー映画20本マーベル映画「アベンジャーズ」シリーズどの順番で観る?公開順&時系列で全23作品を紹介映画「ワイルド・スピード」歴代シリーズ全9作品をまとめて紹介!あなたは公開順と時系列どっちで観る?男性から高評価を集める作品はちょっとダーク?『セッション』『ダークナイト』など人気の10本を紹介2020.07.26女性から高い評価を集める映画とは?『タイタニック』『レオン』など人気の10本をまとめて紹介!2020.07.25なぜ『ゲド戦記』が再上映作品に選ばれた?“親殺し”に込められた意味や、もう一度観るなら注目しておきたい点を深掘り考察【ネタバレ解説】2020.07.24映画ファンが「胸熱すぎる…」と感動する!スポーツ映画まとめ『マネーボール』『コーチ・カーター』など10本2020.07.23映画「96時間」シリーズ一覧!『96時間 レクイエム』まで全3作品のあらすじ&見どころ紹介2020.07.22公式アカウント

シャイニングは、1980年公開のホラー映画の傑作。スタンリー・キューブリック監督作品。主演のジャック・ニコルソンの狂気の演技が凄い。また、原作との乖離によりスティーブン・キングが酷評した事でも有名になった。 きたる2020年7月3日の「金曜ロードSHOW!」にてその「レディ・プレイヤー1」を見るにあたり、事前に見ておいた方が少しだけ良いのが「レディ・プレイヤー1」に向けた事前知識としてご覧になった方が多いのではと思うが、きっとクオリティの高さに引き込まれ、見終わった後には「レディ・プレイヤー1」において、「シャイニング」は主人公たちが解かなければならない映画「シャイニング」はキューブリックが監督だが、原作者はホラー界の帝王スティーヴン・キング。キングは1980年に映画が公開されたころから現在に至るまで、しまいには一般的な映画版「シャイニング」の評価は、そんな文句なしに成功した映画化を、なぜキングは嫌うのか……それは、映画と原作小説が、まずは有名な双子。そして、エレベーターからあふれ出てくる血。これもホテル前の、終盤でダニーがジャックから逃げまわるホテルの庭にある迷路。これもそして、延々と「All work and no play makes Jack a dull boy」とタイプされているばかりのジャックの原稿。ジャックの狂気を印象付けるシーンだが、これもこのように、映画「シャイニング」において印象的な多くのシーンが、小説では存在しない描写だ。とはいえ、小説と映画では表現方法が変わるもの。尺の都合などもあるだろうし、これくらいのビジュアル的な改変は、よくあることな気がしなくもない。もしかしたら、これだけならキングもそこまでキューブリックによる「シャイニング」を嫌わなかった……かもしれない。そう、まだあるのだ。実は映画と小説では、まずはジャック。映画において、彼は最初からどことなくヤバそうな雰囲気をまとっている感がある(ジャック・ニコルソンの顔的に)が、小説では妻と子供に優しいナイスなパパで、映画では執筆が上手くいかないストレスや閉鎖的な生活、そしてホテルに憑りついた悪霊たちによって狂っていったかのように見える。また、ダニーを傷つけたことについて、自分のせいでは無かったともとれるような言い訳をしたりと、そこまでいいヤツではなさそう。小説版のジャックはアルコール依存症に苦しんでおり、酔った時にダニーの腕を折ってしまったことをとても後悔している。問題を抱えてはいるが、根はまともな人物となっている。ラストも違う。映画では迷路で凍死するが、小説では色々あってそしてダニーのママであるウェンディ。映画をご覧になった方は、彼女についてどのような印象を抱いただろう。受け取り方に多少の違いこそあれど、恐らくは「頼りない」とか「ヒステリーぎみ」だとかそういう感じではなかろうか。小説におけるウェンディは、もっと決断力と勇気を持った頼りがいのあるキャラクターとして描かれており、ダニーを守るために狂ったジャックに立ちむかう。このウェンディの改変についてキングは“One of the most misogynistic characters ever put on film, she’s basically just there to scream and be stupid and that’s not the woman that I wrote about.”(映画史上最も女性嫌悪的なキャラクターで、ただそこにいて馬鹿みたいに悲鳴をあげるばかり。私が書いたウェンディはそんな女性ではない)とBBCの取材で述べるほどブチ切れている。ダニーも割と違う。映画のダニーはその辺にいそうな普通の子供だが、小説のダニーは小説では一貫してダニーのこの能力が重要となるし、だからこその「シャイニング」というタイトルなのだ。しかし映画では序盤にちょろっと出てきただけで、シャイニングの力はそこまで役にたたない。また、ダニーが鏡を見ながら指を動かして1人で会話していたトニーという「見えないお友達」的な存在。ともすれば「子供によくある空想」みたいな感じで流されそうだが、実はそしてダニーと同じ能力を持つディック・ハロラン。映画では序盤でちょっとダニーと話したり、途中でダニーの危機をテレパシーで察知する描写も。オーバールック・ホテルに舞い戻るが、ジャックに斧でワンパンされ、小説ではもっと頻繁かつ明確にテレパシーでダニーと交信しあい、窮地を脱するために割と活躍し、人物とは言い難いが、最も改変がなされたのはしかし小説では、長い期間にこのホテルでこういった惨劇が繰り返された結果、悪霊たちが住み着くようになり、ついにはホテルそのものが意思を持った悪意ある超自然的な存在へと変貌を遂げた感があるのだ。先に軽く触れたホテルの庭にある動物を模した植木を動かして、ダニーを襲ったりするレベルでアグレッシブ。映画版のシャイニングでは、これらホテル関連は完全にカットされている。なお、小説のラストで他にも細かいところはたくさんあるが、代表的なところだとこんな感じだろうか。この通り全く別物だが、しかしこの違いが、本作における呪いじみたものとして30年経過した今も影響力を持ち続けている。2019年に映画化された「ドクター・スリープ」。映画の出来は良かったが、小説と映画のどちら基準かという点においては中途半端な感じだった。一応は小説版「シャイニング」の続きである「ドクター・スリープ」の映画化なのだが、映画版「シャイニング」のファンにも配慮したのか映画オリジナルの要素も取り込んでおり、明確にどちらの続きなのかが曖昧になっている感がぬぐえない。詳しくはぜひ映画をご覧になって頂きたい。まあ、キングとキューブリックという、ファンの数的にも各業界への影響力的にも拮抗しそうな二人に、個人的には映画版「シャイニング」は一つの完結したものとして楽しみつつ、小説通りの「シャイニング」を見てみたくもある。当時より撮影技術も進歩したし、超常的な描写も上手くやれるだろう。「IT」のリメイクも上手くいったし、今の流れならイケる気がするのだが、どうだろうか?というわけで、結構な分量で「シャイニング」の映画版と小説版の違いについて語ってきたが、一番お勧めなのはやはり原作を読むことだろう。ややページ数の多さにおののくかもしれないが、読み始めたらあっという間である。映画と同じくらい引き込まれるはずだ。参照元:© © TSUMIKI INC. ALL RIGHTS RESERVED. 『シャイニング』の中心的な恐怖を体現するのは譫妄と狂気の深淵に堕ちたジャックですが、演じるニコルソンのパフォーマンスは血に飢えた猟奇殺人者の様な異常な光を宿すだけで無く、鬼気森然としつつも戯れる様なコミカルな気配も漂わせる。 映画『シャイニング』を視聴する前に怖いのか怖くないのか、どんな怖いシーンがあるのか気になる方は多いのではないでしょうか?シャイニングの怖さの理由やシーンを画像つきで紹介していきます。さらに意味不明と言われるシーンが理解できる裏話もまとめました! 3人は皆、『シャイニング』が唯一の映画出演作品なのだそうです。彼らの演技が観られる、とても貴重な作品というわけです。 ちなみに、ダニー・ロイドは撮影当時5歳でした。 ゆえに、上述のヒントから映画版「シャイニング」が登場する。 一般的な映画版「シャイニング」の評価は、言うまでもなく高い。商業的にも大成功で、演技、撮影技法等全方面でも評価され、後世に大きな影響を与えた。

シャイニングの衝撃的な双子ちゃん エレベーターからの血の洪水 三輪車でホテル内を一周するダニー 狂気のジャックを下から撮影! All work and no play makes Jack …