一方、Qとボンドはシルヴァのコンピューター端末を解析しようとするが、端末に仕組まれていたプログラムがMI6のシステムに侵入してシルヴァの拘禁が解かれ、まんまと脱走されてしまう。シルヴァは部下に助けられながら地下鉄に逃げ込み、ボンドの追跡を振り切りM襲撃の態勢を整える。 映画 そんな大作を控えて、2019年12月18日(金)に「007/ダニエル・クレイグ 4k ultra hd box」が発売される。『007』シリーズ初の4k uhdリリース、ドルビービジョン収録という最高の環境でクレイグ版ボンドを総復習できるとは、なんという贅沢だろう。 ダニエル・クレイグになってからの007の一作目。冒頭の追撃から始まり、ボロボロになりながら闘い続ける人間くさい新ボンドが超カッコ良い。 僕の中の007のイメージを良い意味で破壊してくれた一番好きな作品。 最後が悲しくて泣ける。 ボンド役からの卒業をかねてより示唆してきたクレイグは、どうやら『ノー・タイム・トゥ・ダイ』で今度こそ『007』を離れることになる模様。それだけに、次回作は“6代目ボンド”の集大成というべき作品になりそうだ。なにしろ本作のストーリーは、『007/スカイフォール』(2012)『007 スペクター』(2015)としっかり繋がっており、さらに“とんでもないサプライズ”まで用意されているとそんな大作を控えて、2019年12月18日(金)にこの絶好の復習の機会を前に、今回は『カジノ・ロワイヤル』から『007 スペクター』までの6代目ボンド映画4作品を一挙に振り返っていく。まだ観ていないという人は本記事で見どころをチェックしてから、観たことのある人もそれぞれの作品を改めておさらいしてから、4K UHDの高品質で、ダニエル・クレイグ演じるジェームズ・ボンドの活躍にじっくりと浸ってみよう。『007』シリーズ通算21作目にして、クレイグ版ボンドの初登場作品。監督を務めたのは、シリーズ屈指の人気作『007 ゴールデンアイ』(1995)を手がけたマーティン・キャンベルだ。圧倒的な完成度の高さで、6代目ボンドの“初戦”を見事に勝利へと導いた本作は、 金髪でやけに強面なクレイグのビジュアルを見て「ちょっと違うんだよなあ…」と当時モヤモヤしていたファンすら驚かせ、その後のテイストすら決定づけてしまったほど。洗練されたストーリー、実物にこだわったアクション演出、そしてクレイグが見せる人間味あふれるジェームズ・ボンド。公開直後から「傑作」と呼ばれた一本である。英国諜報部MI6のスパイとして、“殺しのライセンス”を持つ「00」の一員になる以前から始まる『カジノ・ロワイヤル』は、シリーズのリブート作として、ジェームズ・ボンドが初めて挑む任務を描く物語。国際テロ組織を壊滅させるべく、ボンドは組織の資金源である男ル・シッフルに接触し、カジノでポーカーの勝負に挑む。オープニングの激しいチェイスを皮切りに、息を呑む心理戦、あまりに痛すぎる拷問、そして本編を締めくくる一言まで中身の詰まった展開が目白押しだ。まだ経験の浅いボンドが任務達成のため奔走しながら、持ち前の知性と戦闘能力、色男ぶりを駆使するさまは、シリーズ初の金髪というビジュアルが若さを強調するところもあいまって、若きボンドの葛藤と成長という、リブート作にぴったりのトーンを作品にもたらした。リアリティ重視の設定、そして人間ドラマとして観る者の心を揺さぶる展開は、荒唐無稽とは決して言えない危機が迫るなか、現実世界を生きる人間としてのジェームズ・ボンド像を打ち立てることに成功。『クラッシュ』(2004)監督のポール・ハギスは、脚本家としてシリーズに大きく貢献した。『007』シリーズでは各作品のヒロインが“ボンドガール”と呼ばれるが、本作でその役割を担い、ボンドと観客を魅了してくれるのは『ドリーマーズ』(2003)『キングダム・オブ・ヘブン』(2005)のエヴァ・グリーン。悪役ル・シッフル役は、いまや世界的スターとなった“北欧の至宝”『カジノ・ロワイヤル』がクレイグ版ボンドの“覚醒”までを描く物語だったとすれば、続く『007/慰めの報酬』は、「007」としての冷徹さを備えたボンドが、心に負った傷ゆえの復讐心に突き動かされながら、任務を全うするために走り続けるストーリーだといえる。ズバリ、本作はシリーズ初の続編映画。物語は『カジノ・ロワイヤル』直後から始まるのである。監督を務めたのは、『チョコレート』(2001)『主人公は僕だった』(2006)『君のためなら千回でも』(2007)など、人間ドラマを丹念に撮ることで知られるマーク・フォースター。スパイとしての007、個人としてのジェームズ・ボンドに引き裂かれながら前進するというハードな展開は、ヒーローとして描かれることの多かったボンドの“弱さ”にまで大胆に踏み込んだ。また、世界情勢をストレートに反映した設定は『カジノ・ロワイヤル』の上を行く徹底したリアリズム。前作に続いて脚本に参加したポール・ハギスの筆が冴えた、シリーズ随一の異色作となった。とはいえ本作も、さすがは『007』シリーズである。世界6ヶ国で撮影された美しくも過酷なロケーションを舞台に、肉体的にも精神的にも激しいアクションが全編を貫き、息つく間もなく物語が転がっていくのだ(上映時間はシリーズ最短の106分)。ボンドの前に立ちはだかるのは、環境保護を掲げるNPOの創設者ドミニク・グリーン。裏ではボリビア政府の転覆と天然資源の利権獲得を狙う男という役回りで、水資源をめぐる問題や水道民営化というシビアなテーマを一身に担っている。ドミニク役を演じたのは、『潜水服は蝶の夢を見る』(2007)などのマチュー・アマルリック。『007』としてはスケールの小さい悪役ながら、底知れぬ不気味さをはらんだ“現代の悪人”として魅せた。ボンドと同じく復讐に燃えるボンドガールは、のちに『オブリビオン』(2013)などに出演するオルガ・キュリレンコ。ボンドの友人ルネ・マティス役ジャンカルロ・ジャンニーニの演技も絶品だ。『カジノ・ロワイヤル』『007/慰めの報酬』と、シリアスでリアリティにあふれた展開を重ねてきたダニエル・クレイグ版ジェームズ・ボンドの物語は、いよいよ本作で頂点に達する。物語こそ前作から直接つながっているわけではないが、クールで重厚、エモーショナルな作風は全世界で絶賛を浴び、大ヒットを記録。シリーズ史上最高の世界興収記録を保持している。監督を務めたのは、『アメリカン・ビューティー』(1999)『レボリューショナリー・ロード/燃え尽きるまで』(2008)のサム・メンデス。アカデミー賞監督が『007』を手がけたのは初めてとなった。メンデス監督はクリストファー・ノーラン監督作品『ダークナイト』(2008)に感銘を受け、スリリングなエンターテインメントでありながら、現実社会へのメッセージを訴えかける作品を目指したことをそんな『007/スカイフォール』では、ある任務を最後に姿を消していたボンドが、MI6を狙った陰惨なテロ事件をきっかけに再び前線への復帰を試みる。心身ともに十分な状態とは言えない中、ボンドが追いつめた首謀者は元MI6エージェントのラウル・シルヴァだった。その頃、MI6のボスであるMはテロの責任を問われ、ボンドはMへの信頼を揺らがせていたが、ほかならぬシルヴァもまたMとの間に深い因縁を持つ男。いわば、ボンドとシルヴァはコインの表と裏なのだ。変わりゆく時代、組織への信頼、人間の信念といったテーマを重層的に織り込んだ脚本は、ジュディ・デンチ演じるMをボンドガールに据え、『007』シリーズの歴史にも敬意を表する、骨太かつスリリングな仕上がり。クールなファッションやガジェット、どこか懐かしいモチーフを織り交ぜて世界観を更新する試み、『007』シリーズらしい胸躍るアクション、さらには巨匠ロジャー・ディーキンスを撮影監督に迎えての美しい映像表現も融合し、まさしく細部まで作り込まれた一本が完成した。悪役シルヴァを演じた『ノーカントリー』(2007)などのハビエル・バルデムは、徹底した役づくりによって衝撃的な怪演を披露。アデルによる必聴の主題歌「スカイフォール」はアカデミー賞で歌曲賞に輝くなど、まさに死角なしの傑作が誕生した。『007/スカイフォール』を経て、クレイグ版ボンドは新たな方向に舵を切った。『カジノ・ロワイヤル』『007/慰めの報酬』がそうだったように、本作もまた『スカイフォール』の続編らしい開幕となるが、過去3作品がリアリティ志向を貫いてきたのに対し、今回は懐かしい作風にやや振り戻したところがポイント。決してリアリティを失わないながらも、より活劇らしいアクションとユーモアが見どころとなった。今回のボンドは、『スカイフォール』が残していた謎を解くため、メキシコやローマへ向かうことになる。凶悪犯の未亡人であるルチアの手を借りながら、ボンドは謎めいた組織「スペクター」に迫っていくのだ。そんな頃、前任のMからバトンを受け取った新生MをはじめとするMI6は、保安局(MI5)の新たな責任者であるCによって酷評を受け、その存在意義を疑問視されるようになる……。『スカイフォール』に続いての登板となったサム・メンデス監督は、前回とはうってかわって“懐かしの『007』路線”に挑戦。クレイグ版ボンドでは大きな活躍の機会が与えられてこなかったMやQ、マネーペニーといったシリーズおなじみのキャラクターが前面に登場したり、名作『007 ロシアより愛をこめて』(1964)へのオマージュがあったり、そしてなんといっても悪役フランツ・オーベルハウザーは……。シリーズのファンなら思わずニヤリとする遊び心も見どころのひとつ。いわば本作は、3作品かけて築かれてきたクレイグ版ボンドの世界観と、いわゆる『007』らしさの融合が図られた意欲作なのだ。THE RIVERとしては、『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』デイヴ・バウティスタの登場もうれしいところ。撮影監督の『インターステラー』(2014)『ダンケルク』(2017)ホイテ・ヴァン・ホイテマが手がけた端正な映像美を、優れた環境で細部まで楽しみたい。本作『007/スペクター』は、最新作『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』と深い繋がりをもつことになりそうだ。なぜなら、ボンドガールのマドレーヌ・スワンを演じたレア・セドゥは次回作にも続投。悪役フランツ役の『イングロリアス・バスターズ』(2009)約4年半の沈黙を破って帰ってくる『007』最新作では、クレイグ演じるジェームズ・ボンドは現役を退いており、ジャマイカで穏やかな日々を過ごしている設定。ところがある日、旧友のCIAエージェントであるフェリックス・ライターがボンドのもとを訪れ、誘拐された科学者を救出するという任務を依頼する。その救出作戦は想像を超える過酷なミッションで、やがてボンドは、危険な最新技術を操る正体不明の敵と対峙することになるのだった。今回、ボンドの前に立ちはだかる悪役を演じるのは、『ボヘミアン・ラプソディ』(2018)のフレディ・マーキュリー役でアカデミー賞など数々の映画賞に輝いた冒頭にも触れた通り、クレイグは、この『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』をもってボンド役を卒業する意向とのこと。『カジノ・ロワイヤル』以来、もともとストーリーの継続性が強かった6代目ジェームズ・ボンド作品だが、フェリックス・ライター役のジェフリー・ライトが『007/慰めの報酬』以来の再登場を果たし、前作『007/スペクター』からもキャストが大勢続投するとなれば、いよいよ過去4作品を予習せずして、最新作の真髄を味わうことはできないのかもしれない。折しも、「007/ダニエル・クレイグ 4K ULTRA HD BOX」がリリースされるのは、年末年始を直後に控えた2019年12月18日(金)。新作の公開間際にバタバタと予習するのも勿体ないので、時間のあるうちから余裕をもって1本ずつ、映像特典も含めて隅々まで堪能してみては。2019年12月18日発売(予定)Sources: THE RIVER編集部。「わかりやすいことはそのまま、わかりづらいことはほんの少しだけわかりやすく」を信条に、主に海外映画・ドラマについて執筆しています。劇場用プログラムや各種媒体への寄稿なども喜んで承りますので、お気軽にお尋ねください。お問い合わせは inagaki@riverch.jp まで。ポップカルチャーで世界を変える。© Copyright 2020 - THE RIVER by

「ダニエル・クレイグ ... この作品こそが「007」シリーズの最高傑作と言っても過言ではないのではないでしょうか?ファンの間ではもちろんのこと、映画好きの間でも非常に人気のある「007」の代表作品 …